テルペンの有用性
テルペンは、粘着・接着剤、ゴム・プラスチックの改質剤、香料原料、洗浄剤、電子材料、医農薬原料等、あらゆる分野の製品に応用されており、社会の基盤を支えています。
これからのテルペン製品の応用分野として、環境・エネルギー関連分野、情報技術関連分野およびライフサイエンス分野が挙げられます。私たちは、これまでに培ってきた基盤技術を発展させ、テルペンの強みを生かし、これら新しい分野へ重点的に注力していくことが求められています。
1. 粘着・接着分野への有効利用
…粘着・接着、ポリマー改質分野への応用/テルペン系樹脂
用途
- ・粘着テープ用粘着付与剤、ホットメルト接着剤用粘着付与樹脂
- ・ゴム・プラスチックの改質剤
2. 香料分野への有効利用
…香料分野への応用/テレビン油、オレンジオイル、テルペン誘導体
用途
- ・香粧品香料、食品香料の原料・中間体
- ・芳香剤、入浴剤、消臭剤、洗浄剤
3. 電子分野への有効利用
…洗浄剤、溶剤、電子材料/テレビン油、オレンジオイル、テルペン誘導体
用途
- ・金属・ガラス・セラミックスペースト用分散溶剤
- ・電子部品用洗浄剤、半導体・電子部品用材料
4. これからの重点分野
…環境・エネルギー関連分野/太陽電池材料、燃料電池材料
用途
- ・情報技術分野/FPD(液晶・有機EL)材料、
ペースト分散溶剤 - ・ライフサイエンス分野/医療用材料、抗菌・防虫材料
コラム:こんなところにもテルペンが
テルペンは身近なところにいろいろと存在しています。その一部をご紹介いたします。
- ●植物精油
- ハッカ独特の香り(メントール)や、樟脳防虫剤の強烈な臭い(カンファー)等は、全てモノテルペンに酸素原子を含む、テルペノイド(テルペンの仲間)です。
- ●ロジンバッグ
- スポーツ選手やバイオリニストが滑り止めに使用するロジンバッグに含まれているロジンの主成分は、炭素数20のジテルペン類であるアビエチン酸です。
- ●野菜等の色素(赤・黄)
- トマトや人参、みかんや卵黄に含まれる、赤や黄色の色素は、それぞれリコペン、カロテン、クリプトキサンチン、ルテインという、人間の健康に良好な作用を与えるカロテノイドで、炭素数40のテトラテルペン類です。
- ●天然ゴム(パラゴムの木等の樹液)
- 天然ゴムの化学式は(C5H8)nの構造が何百、何千とつながったポリテルペン類です。
(参考:天然薬物化学 川崎敏男 西岡五夫 編著 廣川書店)